目次
NK細胞(ナチュラルキラー細胞)の経緯
- 概 要
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NK細胞は、体の免疫システムの一部であり、主に体内に発生した癌細胞を破壊する役割を持ちます。
- 発 見
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1970年代に初めて発見されました。
- 構 造
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単球系に属し、大きな顆粒を持つことが特徴です。
- 機 能
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癌細胞の殺傷、さらに癌幹細胞1も殺傷することが知られています。
- 活性化
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重症感染症や死に至る免疫刺激にのみ大きく活性化されます。
その他の刺激では一過性の活性化があるのみです。ですからNK細胞の活性化刺激は体外で行う必要があります。
- 標的細胞
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癌細胞の表面にある特定のマーカーの有無に関わらず、これを破壊します。
- サイトカイン
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各種のサイトカイン2を分泌し、他の免疫細胞の活性化を促進します。
NK細胞(ナチュラルキラー細胞)について
NK細胞(ナチュラルキラー細胞)とは
NK細胞(ナチュラルキラー細胞)は、体の免疫システムの一部であり、癌細胞を破壊する重要な役割を果たします。1970年代に発見されて以来、そのユニークな機能と役割により、多くの研究が行われてきました。NK細胞は単球系に属し、大きな顆粒を持つことが特徴です。この顆粒で癌細胞を殺傷します。
NK細胞の機能
活性化と免疫応答
NK細胞は、死に至る重症感染症や死に至るストレス状態にのみ持続活性化されます。その他の刺激では一過性の活性上昇しかしません。また、インターフェロンγ7(IFN-γ)などのサイトカインを分泌することで、他の免疫細胞の活性化を促進します。
NK細胞の役割と研究
近年、NK細胞は癌治療の分野で注目されています。癌細胞に対する自然な殺傷能力を持つため、NK細胞を利用した免疫療法が研究されてきましたが、世界的に頓挫していて、京都大学の研究者のみが実用性のあるANK療法を提供できています。
NK細胞の将来
まとめ
NK細胞は、体の免疫システムの中で癌細胞を殺傷する重要な役割を果たす細胞です。現在も京都大の研究者によりANK療法を超える新たなステップの治療法が進行中であり、その実用化が待たれるところです。
脚注一覧
- がん幹細胞は、がんの親玉とも呼ばれ、がんの根源的な細胞として考えられています。 ↩︎
- サイトカインは、主に免疫細胞から分泌される低分子のタンパク質で、細胞間の情報伝達を担う生理活性物質の総称です。 ↩︎
- T細胞はリンパ球の一種で、血液中のリンパ球の約60~80%を占めています。免疫系で最も重要な細胞のひとつで、獲得免疫において中心的な役割を果たしています。 ↩︎
- 樹状細胞は樹木のような形をした免疫細胞の一種で、体内の異物を発見してリンパ球に情報を伝達する役割を担っています。 ↩︎
- パーファリンは細胞傷害性Tリンパ球(CTL)やナチュラルキラー(NK)細胞が標的細胞を破壊する際に分泌する細胞溶解タンパク質です ↩︎
- グランザイムは細胞傷害性T細胞やNK細胞の細胞質顆粒から放出されるセリンプロテアーゼです。 ↩︎
- インターフェロンγ(ガンマ)は、免疫細胞から分泌されるサイトカインの一種で、抗ウイルスや抗腫瘍、免疫調節などの作用を持つインターフェロン(IFN)のサブタイプです。 ↩︎
- ハーセプチンはがん細胞の増殖に関わるHER2(ハーツー)タンパク質を標的にする分子標的薬の一種で、乳がんや胃がんの一部に適応があります。 ↩︎
- ADCC(Antibody-dependent cellular cytotoxicity)活性とは、抗体薬の作用の一つで、抗体が病原体や腫瘍細胞と結合することで、免疫細胞を活性化させて異物を排除する働きです。 ↩︎